高画質や高音質,手厚いサポート,安い料金などよりも,もっとも普及に重要なものは,ただ単に「扱いやすさ」。
映画大手5社による映画のネット配信サービス,ムービーリンクに関心が高まっている。映画1本3〜5ドルでダウンロードできるが,ファイルは視聴開始後24時間で削除される。ブロードバンドの普及が必要だが,ムービーリンクによって映画業界は時代に取り残されないですむという見方もある。
数秒で落ちてくる音楽ファイルなら,ダメファイルでもまた落とし直せばいいが,数時間もかかる映画1本の動画ファイルでのダメファイルは防ぎたいと思うはず,という映画業界の読みは半分はあたっている。引き合いに出されている音楽業界は,単なる引き合い役に落とされているが,まぁそれはどうでもいい。アップルの音楽配信サービス(過去記事)で使われることになるのでは? とも云われているMPEG4のデジタル権利管理(DRM)もまもなく登場するようだが…(CNET Japanの記事)。
DVDビデオが本当に普及したのは,DeCSSから始まったリッピングツールがあふれんばかりに登場したあとだったことは,単なる偶然だろうか? DeCSSがなかったとしても,DVDビデオは普及しただろうか? ムービーリンクのサービスは便利なような気もするけど,気付くと削除されているファイルに対して手を伸ばす利用者が多いとは思えない。扱いにくいファイルやメディアが普及することは少なく,それは現在のコピープロテクトCDや誰が利用するのかわからないネット上の音楽サービスも同じ。まぁつまりは,MP3やDivXはとことん扱いやすかった,ということに尽きるんだけど,さて。
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